卒論・レポート(特に、卒論)をどのような構成にして書いたらいいいかまったくわからないという大学生の方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、インバウンド研究の例として「山奥の小さな旅館が連日外国人客で満室になる理由」~湯平温泉「山城屋」という本を出している山城屋を題材にして卒論・レポート・論文の構成と具体的に何を書いたらいいかについて説明します。
だいたいインバウンドに関するテーマを考えてくださいというと学生は、「外国人観光客について」「日本のインバウンドについて」などというテーマを選んできます。
これでは、どこに焦点をあてていいのかわからなくなり、まとまりのない論文になります。
どこかの温泉1か所に絞る、どこかの旅館1か所に絞るという方が、書きやすいし、誰も書いていないので、とても価値のある論文になります。
テーマの選び方に関してはレポート・卒論・論文のテーマの選び方【4つのポイント】を参照してください。
大学の教員で卒論指導を毎年行っています。国際誌・学会誌・大学紀要などに100本以上の論文を発表してきました。Language Learning, The Modern Language Journal, Systemなどの国際誌の査読者もやっています。
では、具体的な例を見ていきましょう。
大分県の湯平温泉「山城屋」を例に
大分県の湯平温泉「山城屋」は「トリップアドバイザー」で、日本国内に約4万件ある旅館の中から宿泊施設満足度ランキング・日本の旅館部門で全国第3位に選ばれたことがある小さな旅館です。
現在は、旅館の宿泊客のうち外国人が8割を占めています。
こんな本も出しています。
「山奥の小さな旅館が連日外国人客で満室になる理由」~湯平温泉「山城屋」
また、こちらにも「山城屋」の記事があります。【山城屋の例】
ここで湯平温泉「山城屋」がなぜインバウンドで成功したのだろうかという問いを立てて、具体的な卒論の書き方の参考例を示します。
序論
序論は逆三角形に書いていきます。
つまり広い範囲から狭い範囲に絞っていき、最後に問いに導いていくということです。
詳しくはこちらの動画を参考にしてください。
だいたい、序論は半ページから多くても1ページです。
湯平温泉「山城屋」がなぜインバウンドで成功したのだろうかという問いを立てて序論を終えていきます。
先行研究
ここも序論と同様に逆三角形にすると書きやすいです。
- 日本のインバウンドの現状(統計で見る日本e-Statから)統計で見る日本e-Statについては卒論・レポートの17のチェックポイントのポイント1をご覧ください。
- 大分県の観光・温泉の現状から入って、その中での湯平の位置(大分県の公式の観光ホームページなど)
- 湯平温泉の歴史・現状 (湯平温泉の公式の観光ホームページ)
- 「山城屋」の公式のホームページ・「山奥の小さな旅館が連日外国人客で満室になる理由」~湯平温泉「山城屋」・雑誌の記事や新聞に載ったものをまとめる。
本研究の目的
湯平温泉「山城屋」はインバウンドで成功したといわれているが、その要因を外国人の英語のレビューと現地での調査から明らかにしていく。
分析方法
これらの方法で行うことを明記してください。
- 外国人が書いたトリップアドバイザーの英語のレビューを分析することを明記する。
- 具体的に何年から何年のレビューを収集したのかを書く。
- どのように分類したのかを記載する。
- 現地での調査の方法など(インタビュー)などを記載
分析方法の書き方は自分の論文の内容と類似する論文の型を真似ればいいです。
つまり型をそのまま真似て、中身を自分の内容に書き換えていくということです。
結果
分析した結果を書く。
分析の部分も自分の論文の内容と類似する論文の型を真似てください。
中身を自分の結果に書き換えていきましょう。
考察
結果をみながら、成功要因を大きくいくつかにわけて、論じていきましょう。
つまり、先行研究の資料と外国人のレビューや現地での調査結果を結び付けて、言いたいことをいくつかに分けていきます。
それで第一に、第二にという感じで、論じていきます。
そのときに、上記の結果と、先行研究(文献)を出しながら、ここで自分の意見を書いていきましょう。
文字数が少なくて困ったなら、本研究の限界点をいくつか書きましょう。
考察の最後に書いたり、結論に書いたりします。
結論
- 考察を簡単に1~2段落にまとめる。
- 本文に書いていないことをいきなりここで書かない。
- 序論と結論だけ読んで、論旨が通っているか。
- 序論で定義した疑問に、結論で答えているか。
引用文献
引用文献の作成が意外と時間がかかります。
いい加減に書いていると、どこから引用したか、わからなくなって大変なことになりますので、きちんとどこから引用したものなのか、わかるようにしておきましょう。
サイニーから著者の名前や論文名などコピーできます。
ただし、フォントがコピペしたところのままにならないように、「テキスト」を選択して貼り付けてください。
詳しくはこちらの動画のポイント7を見てください。
引用文献は、著者の苗字のあいうえお順に並べましょう。
論文の場合
著者の名前 (年代)「論文の名前」『論文が載っているジャーナルの名前』号数,ページ数
米田佐紀子(2008)「英語劇を通して日本人児童 に英語力を定着させる試み―コミュニケーション 能力からみた発音・語彙・文型の定着を目指して―」 『北陸学院短期大学紀要』40 , 65-84
複数の著者の場合は・で区切る
贄育子・三宅絢花(2014) 「母性看護学実習に対する女子学生の実習前のイメージ,実習中感じたこと,実習後の思い-テキストマイニングによる分析-」『ヒューマンケア研究学会誌』5, 21-28
宋美蘭・水野君平・侯月江・濤岡優・加藤弘通(2019) 「札幌市の子どもたちにおける『外国語』及び『総合的な学習』に関する実態分析」『子ども発達臨床研究』13, 11-22
書籍の場合
著者の名前(年代)『書籍名』出版社の場所:出版社
寺内一(2005)『ビジネス系大学の英語教育イノベーション―ESP の視点から』東京:白桃書房
引用文献に関する詳細はこちらの動画をご覧ください。
まとめ
ここでは山城屋を題材にして卒論・レポート・論文の構成と具体的に何を書いたらについて説明しました。
とにかくはじめて論文を書く方、特に、卒論に関してはテーマを狭く、狭くして書いてみましょう。
大学生のためのレポート・卒論・論文の書き方のロードマップにはレポート・卒論・論文を書く際の道筋が簡潔に書かれています。

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