「英語の冠詞って難しい」と思っている方が多い方かと思います。
私も何度も英語ネイティブスピーカに冠詞に関して直されながら、英語の冠詞について学んできました。
そのような経験をもとに、英語の冠詞 【a, an, the】【冠詞の有無】の使い分けや可算名詞・不可算名詞についてわかりやすく解説します。
また、ここでは、学んだ知識を定着させるために、冠詞を使った英文が口から何も考えずにすらすらでるようにクイックレスポンスで練習します。
クイックレスポンスというのは、日本語を見たら・聞いたら瞬時に英語に直すというもので、通訳学校でよく行われている訓練法です。
クイックレスポンスについての詳細は英文法はクイックレスポンスで自動化を参考にしてください。
不定冠詞(a/an)の用法
aの概念の基本はどれか一つに決まらないということです。
そのため、初めて話題に出てきたときには、どれって決まらないことが多いので、aを使うことが多いのです。
ところが、初めて出てくるからといって、Open a window.としてしまったら、どこの窓でもいいから、とにかく開けてということになり、どこの窓かわかりません。
そこで、初めて出てくる場合でも下記で説明するtheを使い、Open the window.とします。
詳細は「ハートで感じる英文法」をご覧ください。名著です。
a :単数形の名詞で,その名詞および名詞に付いた形容詞の最初の発音が母音でないものに付きます。
a book
a beautiful flower
an: 単数形の名詞で,その名詞および名詞に付いた形容詞の最初の発音が母音であるものに付きます。
an old house
an hour
定冠詞の一般的用法
前に一度出た名詞を再び繰り返すとき
He has a son and a daughter. The son is an engineer and the daughter is a teacher.
(彼には息子と娘がある。息子は技師で娘は教師である)
はじめて出たものでも,文脈・状況から特定性が明らかなとき
He went to his room and shut the window.
(彼は自分の部屋に行き,窓を閉めた)
可算名詞・不可算名詞
もう一つ考えていかなければならないのは、以下の区別です。
- 加算名詞:数えられるもの(aがつく)
- 不可算名詞:数えられないもの(無冠詞)
たとえば、ham(ハム)は、塩漬け、または燻製した豚のもも肉という意味であり、スライスであるか一つの肉塊であるかは定まっていなません。
つまり、このhamは一般的に材料としてのハム肉の意味で、形も決まっておらず、1つというはっきりとした形もないため無冠詞になります。
ただ、aが付くと、one ham, two hamsというように数えられるので、この場合のhamは可算名詞となります。
このように、英語の名詞では可算名詞になるか不可算名詞になるかは、文脈によります。
一般的なものを表すときは無冠詞
ある大学の授業で,学生に小学校で行う英語の授業案を書かせました。
その中でI like a pink fish. I like a white rabbit. という箇所があり,aがつくのはおかしいなという気がしたので,「ちゃんと調べて書いたの?」と聞いたところ,これは「ネイティブスピーカが書いた教案に書いてありました」と言われたので,何かこのような使い方もあるのだろうとそのままにしておきました。
ところが,その授業案を掲載した論文を英語母語話者に見てもらったところ,赤でたくさんの書き込みがありました。
何だろうと見てみると,この冠詞のaについてで,この文はおかしいと長々と説明が書いてあり,とても恥ずかしい思いをしました。
さて,I like a pink fish. とI like a white rabbit. 皆さんならどのように直しますか。
一般的なものを表す時は,数えられる名詞の場合は通常は複数形で表します。
そのため,I like a white rabbit. → I like white rabbits. になるということです。
ところで ,fishの複数形はそのままfishですので,
I like a pink fish. → I like pink fishになります。
「私は蛇が嫌いです」となると
I hate snakes.となります。
ただし,時々,the+単数名詞 を使って一般的なものを表すことがありますが、the+単数名詞は学術書などのかたい文章が多いので,とりあえず一般的なものは複数形と覚えておけば,だいたいは間違いないかと思います。
数えられる名詞は裸のまま使わない
数えられる名詞は裸のまま使わないというのは数えられる名詞には以下のものを必ずつける。
つまり、数えられる名詞には何かを必ずつけるということです。
- aやtheなどの冠詞 a book
- 複数形なら後ろにs books
- myやyourやthisなど代名形容詞 my book
つまり、I bought book.のようなbookに何もを付けない使い方はしないということです。
一方、数えられない名詞(不可算名詞)はdrink water before a meal何もつけないで使うことができます。
以下の二つを比べてみてください。
- The kiosk sells newspapers.
- The kiosk sells newspaper.
上のThe kiosk sells newspapers.は「そのキオスクは新聞(sが付いているので複数の新聞)を販売している」という意味です。
一方、英語では、裸の名詞(冠詞や複数形にしない無冠詞単数形)は必ず「数えられないもの」を意味します。
そのため、冠詞もなく単数形のまま使われているThe kiosk sells newspaper.は素材として使われれている紙そのものを指すことになり、「そのキオスクは新聞を販売している」の意味ではなく 「そのキオスクは新聞紙を販売している」という意味になります。
つぎに「ドルを持っていますか?」を英語に訳してみましょう。
dollarは単位を表すものであるため常に「数えられるもの」であるため「不可算名詞」になることはありません。
そのため、dollarを裸のまま使うDo you have dollar? は間違いです。
dollarを 複数にしてDo you have dollars?と聞きましょう。
Last night, I ate a chicken in the backyard.って正しい??
マーク・ピーターセン(1998)の「日本人の英語」という本を読んだことがありますか。
日本人の英語の問題点を指摘している名著です。
その中で,Last night, I ate a chicken in the backyard. と書いてある手紙をもらったという部分があります。
この文を読んで,英語母語話者である著者はどのようなイメージを思い浮かべたのでしょうか。
「夜がふけて暗くなってきた裏庭で,友だちが血と羽だらけの口元に微笑を浮かべながら,ふくらんだ腹を満足そうに撫でている」と述べています。
食べる肉の鶏肉について述べているときは,常に数えられない名詞になりますので,この文は正しくは,Last night, I ate chicken in the backyard. になります。
ところで,庭にいるニワトリを指す場合はもちろん1羽・2羽と数えられますので,数えられる名詞になります。
They keep four chickens in our garden.
彼らは庭で4羽ニワトリを飼っている。
そのため,「日本人の英語」の著者はI ate a chicken in the backyard. という文をみて,食べる鶏肉ではなく,1羽の鶏を思い浮かべたのだと思います。
つまり以下のようにまとめられます。
- aがある場合→単位性を持つ a chicken (1匹の鶏)
- aがない場合→単位性がなく、決まった形もない、材料的なもの chicken(鶏肉)
aやtheは名詞につくアクセサリーではない
こちらも「日本人の英語」からの引用です。
aやtheは名詞に付くアクセサリーではありません。ちゃんとした意味があります。
- aに名詞が付くと漠然とグループの中の一つということを示します。
- theに名詞が付くとそこにスポットライトがあたります。
Japanese arranged marriage has recently become a subject of wide interest in the United States.
(日本のお見合いは、最近、アメリカで一般的に興味深く思われる話題となっている。)
- aに名詞がつくと、その名詞はあるグループの中の一つ。
- ”a subject”はいくつもある「一般的に興味深く思われている話題」の中の一つ

Japanese arranged marriage has recently become the subject of wide interest in the United States.
(日本のお見合いは、最近、アメリカで一般的な注目のまととなっている。)
- theに名詞がつくと、そこにスポットライトがあたる
- ”the subject”は「当然一つしかない注目のまと」

また、「彼女はよく大学時代の恋人を思い出す」を英語に訳してみてください。
① She often recalls the boyfriends she had in college.
こ大学時代の彼女の恋人が複数人いて、その全てをよく思い出す場合は以下のようになります。
→She often recalls the boyfriends she had in college.
定冠詞のtheにはallと同様の「決まったものすべて」といった意味が含まれているため、複数人いた恋人の全員を思い出すと言う意味になります。
② She often recall boyfriends she had in college.
大学時代の彼女の恋人が複数人いて、そのうちの何人かをよく思い出す場合は以下のようになります。
→ She often recall boyfriends she had in college.
「無定冠詞複数形」のboyfriendsはsome boyfriendsと同じ意味を持っています。
つまりtheで限定しないため、大学時代に複数いた恋人のうち何人かの恋人のことをよく思い出すという意味になります。
③She often recalls the boyfriend she had in college.
大学時代の彼女の恋人が一人しかいない場合は以下のようになります。
She often recalls the boyfriend she had in college.
単数型のboyfriendに全てを表すtheがついているために大学時代の恋人が一人しかいないと言う意味になります。
④ She often recalls a boyfriend she had in college.
大学時代の彼女の恋人が複数人いて、そのうちの一人をよく思い出す場合は以下のようになります。
→She often recalls a boyfriend she had in college.
複数人いた恋人の中の一人だけを思い出すという意味になる。
このように冠詞の有無や種類が変わるだけで、その英文が表す数や意味が大きく変わってしまいます。
奥が深いですね。
ここでの解説と例文は以下の2冊を参考・引用しています。
名著ですので、ぜひ一度読んでみてください。
また、「日本人の英語」はAmazonのAudibleで無料で入手できます。
なぜ富士山にはtheがなくて、アルプス山脈にはtheが必要なのか?
なぜ、富士山にはtheがなくて、アルプス山脈にはtheが必要なのか? と疑問に思ったことはないでしょうか。
簡単に説明しますと、 theにはいくつかのものをまとめる意味があります。
そのためいくつかの山からなる山脈には,いくつかの山をまとめるということからtheをつけます。ゆえに,the Alps (アルプス山脈)となります。
ひとつの山の場合は何もつけません。そのためMount Fuji /Mt. Fuji (富士山)となります。
詳しくは、こちらの動画をご覧ください。
冠詞の入った英文をクイックレスポンスで練習
冠詞の使い分けなど理論がわかっても、使えなければ意味がありません。
それを実践で使えるようになるには、とにかく,何度も口に出して言ってみることが必要です。
語学はスポーツと同じで,ルールだけ知っていても上達しません。
何度も練習することによってはじめて実践で使えるような英語が身に付きます。
その練習をするための練習方法として、おすすめなのがクイックリスポンスです。
ここからは、頭を白紙にしてひたすら自動化するまで練習です。
なお、クイックレスポンスについての詳細は英文法はクイックレスポンスで自動化を参考にしてください。
ステップ1 動画での練習
最初は画面を見ながらでもいいですが、徐々に画面を見ないで、音声だけで練習してください。
- 最初に日本語が流れます。それを英語に直してみましょう。(クイックレスポンス)
- その後に正解の英語が流れますので、確認しながら、聞こえた英語を同時または後に続いて発音しましょう。
- 1つの動画を最初から最後まですらすら一度も間違えずにクイックレスポンスができるようになりましたら、その動画は卒業です。次の動画に移りましょう
ステップ2 確認テスト(日本語を読んで変換)
次に、以下の日本語を英語に瞬時に訳してみましょう。すらすらできたら卒業です。
すらすらできなければ、動画に戻って練習してください。
動画で十分練習したら、再度チャレンジです
- この車は時速80マイルで走行が可能だ。
- 彼は年に一,二度韓国に出かける。
- 彼は私の顔をのぞきこんだ。
- 彼女は私の手をとった。
- 私たちは卵をダース買いする。
- 私の娘はバイオリンを弾きます。
- 私は彼の腕に触れた。
- 彼らは琵琶湖に行きました。
- ボブはアルプスを越えた。
- 私たちは来年富士山に登るつもりだ。
- この地域は信濃川でかんがいされている。
解答はこちらです。
- This car can run 80 miles an hour.
- He goes to Korea once or twice a year.
- He looked me in the face.
- She took me by the hand.
- We buy eggs by the dozen.
- My daughter plays the violin.
- I touched him on the arm.
- They went to Lake Biwa.
- Bob went over the Alps.
- We will climb Mt. Fuji next year.
- This area is irrigated by the Shinano River.
英語の冠詞を学ぶのにおすすめ書籍
最後に、英語の冠詞を学ぶのにおすすめの書籍をご紹介します。
予備校の先生が書かれており、とてもわかりやすいです。さすが予備校の先生。
また、共著者に英語のネイティブスピーカーが入っていますので、安心して読めます。
ネイティブが書いていますので、安心して読めます。
デイビット・セイン先生には一度ある出版社のレセプションでお会いしたことありますが、とても気さくないい方でした。
私はこれを一番愛用していますが、学術的に本気で冠詞を学びたい方はこちらをお勧めします。
英語ネイティブが書いた冠詞に関する学術書ですので、冠詞に関してもっとも信頼できる書籍です。
おわりに
ここでは冠詞、特に、theやaの使い分けについて学び、練習しました。
冠詞一つで大きく意味が変わってきますので、冠詞の概念をしっかり理解して、ここで学んだことを実際の外国人とコミュニケーションをしながら定着させていきましょう。
ところで、外国人と英語でコミュニケーションしたい方は、オンライン英会話の無料体験などを定期的に利用されるといいと思います。
英会話は学問ではなく、コミュニケーションですので、覚えたら(吸う・インプット)実際に外国人とのコミュニケーションで使ってみましょう(吐く・アウトプット)。
ネイティブキャンプでは、7日間無料体験できます。
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