現在のことなのになぜ過去形?過去形を使うとなぜ丁寧な言い方に?

過去形 英文法・英語教材

現在のことなのになんで過去形を使う?なぜ過去形を使うと丁寧な言い方になるのか?など不思議に思ったことはありませんか。

過去形自体はそんなに難しくはないのですが、過去形の概念をしっかり知らないと正しい使い方ができません。

過去形の基本的な概念として、過去のことなので距離が遠いという意味があります。

それを人間関係に応用させると、親しい人は距離が近いですが、親しくない人は距離が遠くなり、丁寧な言い方をしますよね。

つまり、過去形を使うことにより、距離が遠くなり、丁寧になります

ここではこのような過去形の概念について詳しく解説します。

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過去形の概念

過去形の文は過去の動作や出来事を表します。

I washed my car yesterday.

(私は昨日車を洗った)

ただ、それだけなのですが、英語のネイティブはそんな感覚だけで過去形を使っているのではありません。

過去というのは、現在とは切り離された遠く<離れた>歴史の1コマです。

「私は昨日車を洗った」という過去を述べているだけで今とは切り離されています。

過ぎてしまった遠くなった過去を眺めている感じです。

そしてこれを距離に置き換えてみると

  • 現在は今自分がいるところなので自分とは距離が近い。
  • 過去は過ぎたことなので距離が遠い。

つまり、過去は自分とは距離が遠い。

人間関係で考えれば、以下のような関係になります。

  • 距離が近い人は親しい→口調はカジュアル
  • 距離が遠い人は親しくない→口調は丁寧

この関係をしっかり押さえてください。

ここからは具体的な過去形の使い方について見ていきましょう。

人に丁寧に頼むときCould you/ Would youを使う

何かを人に頼むときに丁寧にするために、よく過去形のCould you や Would youを使います。

これは、過去形を使うことにより、距離を置くことができ、丁寧な言い方になるためです。

  • Can you play the piano for us? / ピアノ弾いてくれない?
  • Could you play the piano for us? / ピアノ弾いてくれませんか?

Couldという過去を使うことにより、距離を置くことができ、canよりも丁寧さが増しています。

ちなみに、「ピアノを弾いてほしい」と言うとき、Play the piano for us.のように命令形を使って表すこともできますが、この場合、自分の要求を距離を取らずに直接述べることになります。

Can youやWill youなどの形を取ることで、意思や能力があるかを尋ね、ワンクッション置くことができます。

現在のことを過去形で表し丁寧さを出す

「おいでいただけるといいのですが」を英語にすると以下の2つになりますが、この違いがわかりますか。

  • I hope you can come with me.
  • I hoped you could come with me.

I hope you can come with me.

現在形を使うと「現在の希望」を生の形で出すことになり、暑苦しい表現になってしまいます。

一方、I hoped you could come with me.という過去形を使うことで「そこから離れる」ことが可能になり、聞き手に対しての圧力が低くなり丁寧な言い方になります。

また、実際にイギリスのデパートでこのように言われてことありました。

How much did you want to spend?
お費用はおいくらお見積りですか?

全然過去のことでないのに、didを使っています。

過去形を使うと控えめな表現になる

距離が遠くなるので、その分可能性が低くなります。

  • I may be a little late. / 遅れるかもしれない
  • I might be a little late. / ひょっとして遅れるかもしれない

mayは50%程度の可能性(そうなる可能性もそうならない可能性も半々)
mightは30%ぐらいの可能性(そうならない可能性の方が高いけど…ひょっとして)

will-would, can-couldも同様です。

仮定法になぜ過去形を使うのか?

仮定法に過去形を使うのはわかりますよね。

非現実的な、可能性が著しく低い出来事を眺める視線は、自分から距離があるものとして捉えるため、遠くを眺めるときのような視線になるため、過去形を使います。

I wish I had more brains! / もっと賢かったらなあ。

I was wondering if you could はビジネスでは必須

I was wondering if you could 「~していただけますでしょうか」

「~していただけますでしょうか」と今頼んでいるのに、過去形を使っていますよね。

was とcouldで2回も過去形を使っているので、距離を置くことになり、とても丁寧ないい方になります。

私は外国人にeメールを送るときに、よく使っています。

I was wondering if you could tell me about it.
そのことについて話していただけませんか。

I was wondering if you could do me a favor.
お願いを聞いていただけませんか。

I was wondering if you could give me a ride.
車に乗せてもらえませんか。

ビジネスで必須の表現です。

I was wondering if you could send me a new brochure?
新しいパンフレットを送っていただけますか。

I was wondering if you could send me your latest catalog.
最新のカタログを送っていただけますでしょうか。

I was wondering if I could ~にすると「させていただきたいのですが」という意味になります。

I was wondering if I could take a day off.
お休みを頂ければと思うのですが。

おわりに

過去形の概念について詳しく解説しました。

これらをしっかり理解しましたら、過去形がすらすらと出てくるように、過去形のクイックレスポンスで練習してください。

なお、以上の説明は大西先生のNHKの番組「ハートで感じる英文法」がもとになっています。

本当に素晴らしい番組です。

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「ハートで感じる英文法」は楽しい番組で、説明もとても上手なので、飽きずに楽しく英文法が学びます。

英語教育番組の中で、一番ためになり、楽しい番組でした。

何回みても勉強になります。

特に、時制の説明や不定詞・動名詞の説明が素晴らしいです。

また、上記の例文の一部は「英文法をこわす: 感覚による再構築」から引用しています。

こちらも良書です。

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