平成25年12月「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
それを前後にして海外でも和食が一種のブームのようになっています。
20年前にポルトガルに住んでいましたが、そのときは、和食店なんて数点しかありませんでした。
今ポルトガルに行くと、和食、特に、寿司屋はそこら中にあります。
数年前に、ポルトガルで親戚一同と寿司屋に行ったときのメニューを見ながらの会話(ポルトガル語)です。
- 親戚「軍艦巻きって何?」
- 私「知らない」(恥ずかしいことです)
- 親戚「かっぱ巻きって何?」
- 私「それはキュウリが中に入っている」
- 親戚「どうしてかっぱ巻きっていうの?」
- 私「知らない」
その場が、一瞬しらーとなり、自分の国の食べ物なのに、何にも知らないやつだなと思われたでしょうね。
すると、別の親戚が「じゃー僕が一番好きな寿司を注文するよ」といって運ばれてきたものが「苺クリーム寿司」で、「苺クリーム寿司」に話題を持って行かれました。
この体験を通して、自分の専門分野だけでなく、自分の国の食べ物に関する雑学はちゃんと説明しておけるようにしておくべきだなと痛感し、それからは和食をはじめとした日本文化に強く関心を持つようになりました。
日本人は外国の文化以上に、もっと自国の食べ物・文化についてもっと関心を持つべきでしょう。
そこでここでは、和食について学べるおすすめの書籍をご紹介いたします。
具体的には、教養(歴史・雑学)としての和食や和食のレシピが英語や日本語で学べる12冊の本をご紹介します。
教養(歴史・雑学)としての和食が学べる本(英語と日本語)
最初に教養として学べる英語と日本語の和食の本をご紹介します。
英語でガイド!外国人がいちばん知りたい和食のお作法
一番のおすすめはこちらです。
日本で開催されたある国際学会で外国人の方30名以上と懐石料理を食べにいきましたが、日本人は私一人でした。
外国人の方は懐石料理に感動したようで、「どんな風に食べるんだ?」「これは何なんだ?」「どうしてこんなものがあるんだ?」とかすごい質問攻めにあいました。
ところが、私はそれらの問いにほとんど答えられず、私が30名を前にいった言葉「こういうのは日本人は普段食べないから、よくわからない」
と答えた後に、シラーとした雰囲気になり、大変恥ずかしい思いをしました。
その後にすぐに購入した本がこちらです。
基本の箸使いから様々なシチュエーションにおける和食の基礎知識やマナーが書いてあります。
同じような恥をかかないように、外国人と食事に行くときに時々持って行っています。
和食の英語表現事典
しっかりと和食を英語で学びたい方のための書籍です。
たとえば、以下のような内容が学べます。
- 季節・土地・格式にまつわる和食を理解し英語で伝える
- 料理・食材・調味料・菓子などにまつわる和食を理解し英語で伝える
- 調理法(煮、揚、焼、蒸など)にまつわる和食を理解し英語で伝える
英語関係・和食関係を専門とする大学の先生と英語ネイティブで書いた本です。
イラスト&英語でガイド 世界に教えたい日本のごはんWASHOKU
片方に日本語、もう片方に英語が書かれている完全なバイリンガルの本です。
茶道の裏千家の本をたくさん出版している淡交社が出版している本です。
英語でガイド! 外国人がいちばん食べたい 和食90選
比較的わかりやすい英語で書かれており、外国人に和食を説明するのに、最適な本です。
ご当地グルメや弁当文化など、伝統的な和食だけでなく、いろいろ入っており内容も面白いです。
教養(歴史・雑学)としての和食が学べる本(日本語のみ)
ここからは日本語のみの書籍です。
日本の食文化史――旧石器時代から現代まで
国立民族学博物館の館長をなさっていた石毛直道先生が書かれた書籍で、稲作時代から現在に至るまでの和食の歴史が学べます。
こんなことが学べます。
- 縄文時代の社会と食生活
- 神聖視される作物
- 麺類の普及
- 食事の回数の変化
- アイヌと琉球
- 勃興と没落の時代
- 盛りつけの美学~食卓のうえの日本庭園
- 精進料理~仏教徒のヴェジェタリアン料理
- テンプラとトンカツ~歴史があたらしい国民料理
和食の歴史 (和食文化ブックレット5)
日本独自の料理「和食」。
「和食」という言葉は近代に入って生まれたが、ではその料理自体はいつ、どのようにできあがったのか。
また、その独自性はどうして生まれたのかなどが学べます。
具体的には以下のような内容が学べます。
- 和食の形成
米文化の成立/神饌料理/大饗料理/精進料理 - 和食の完成と展開
本膳料理/出汁と発酵調味料/料理流派と料理書の成立/懐石料理 - 和食の発達
料理屋と会席料理/料理書と料理本/発酵調味料と和食の広がり/江戸時代後期の料理文化 - 和食の新展開
西洋料理の移入/和食の見直しと衰退/新たな和食へ
外国人にも話したくなる ビジネスエリートが知っておきたい 教養としての日本食
「外国人にも話したくなる ビジネスエリートが知っておきたい 教養としての日本食」という題名からもわかるように、上記2つのアカデミックな本よりももう少しラフな感じで、教養としての和食について学べる本です。
会食の場、和食についていろいろ語れるようになることは「いい武器」になります。
以下のようなことが学べます。
- 作法に息づく「和のこころ」を知る
- 日本食を形づくる「匠の技」を学ぶ
- 和食が秘める「効能」を解明する
- 日本料理を生んだ「ルーツ」を探る
- 食習慣をはぐくんだ「日本人の信仰」に迫る
「和食と日本人」おもしろ雑学 (だいわ文庫)
本の題名からもわかるように、上記3つの本よりももっとカジュアルな本です。
こちらは和食に関する雑学を集めた書籍で、気軽に読める本です。
以下のようなことが書いてあります。
- 「さしすせそ」と出汁の謎―和食の「うま味」はこうして生まれた
- 「寿司・天ぷら」の謎―だれもが愛する和食の定番
- 「刺身・煮魚・焼き魚」の謎―海の幸を味わう多彩な料理法
- 酒と酒肴と「宴会」の謎―日本人が育てた「うま味」のマリアージュ
- ご飯と「ご飯の友」の謎―互いに高めあう究極の和食
- 肉料理の謎―タブー視されても生き残った「薬」の味
- 鍋物と「おでん」の謎―湯気の向こうにみえる素朴な幸福
- そばとうどんの謎―こだわりが生んだ麺の誘惑
和食のレシピを英語で学べる本
ここからは和食のレシピを英語で学べる本をご紹介します。
英語でレッスン! 外国人に教える和食の基本
年間約1300人、50ヵ国以上の観光客が訪れる神保町の「ブッダベリーズクッキングスクール東京」を主宰する著者が書いた本です。
基本的な和食の調理法を外国人が理解しやすいよう文化的背景を交えながら解説しています。
実際に、外国人に料理を教えている経験があるので食材や料理の解説や、声かけをするときの英語表現など体験をもとにした本は面白いです。
これら2冊は英語のみのレシピの本です。和食に興味のある外国人へのプレゼントとして最適です。
Japanese Cooking: A Simple Art
辻調理師学校を開校した辻静雄さんが書かれた本で、以前に出版された本を2021年5月に改訂したものです。
たくさんのレシピが載っていますが、同時に関連したことも多く書かれています。
本格的に学びたい方におすすめの本です。
内容はもちろんしっかりしており、英語母語話者も著者として連ねているので、英語も信頼できます。
キンドルだと半額で購入できます。
Washoku: Recipes from the Japanese Home Kitchen [A Cookbook]
外国人の方が書かれたので、英語は完璧です。
こちらもキンドルだととても安く(710円)で入手できますので、キンドルを利用されたらいかがでしょうか。
おわりに
日本にいるとあまり感じませんが、海外に出ると本当にここ最近の和食ブームには目を見張るものがあります。
ここでは、外国人に説明するためのおすすめの教養(歴史・雑学)としての和食や和食のレシピの英語・日本語の本12冊をご紹介しました。
まずは、上記の本を楽しみながら読んで、和食についての知識をつけましょう。
様々な場で役に立つと思います。
本格的に和食について学びたい方は、こんな資格を取ってみるのもおすすめです。
外国人相手の和食の教室を開きたいと思っても、何も資格がないと。。思われる方も多いと思います。
一つは多くの著書があるタカコナカムラ先生が監修している「がくぶん」の通信講座です。
一般社団法人「ホールフード協会」から「和食にすと」という資格を取得することができます。
詳しくは公式サイトをご覧ください。
もう一つはSARAスクールで以下のような2つの資格が取得できます。
- 日本安全食料料理協会(JSFCA)主催の「和食ソムリエ資格」
- 日本インストラクター技術協会(JIA)主催の「日本料理ソムリエ資格」
これらは通信で学習して取得することができます。
詳しくはこちらをご覧ください
日本文化を外国人に広めることに興味にある方は以下も参考にしてください。
和菓子
茶道
神社
温泉
折紙
浴衣