小学校のCLIL(クリル・内容言語統合型学習)メリット・デメリット

CLIL児童英語教育・研究

「クリル」「CLIL」って何だろう?と思われる方がいらっしゃるのではないでしょうか。

CLILとは他教科の内容と外国語の学習を組み合わせた教授法でContent and Language Integrated Learning(CLIL)のことで、日本では,「クリル」「内容言語統合型学習」と呼ばれています。

ヨーロッパで盛んに取り入れられている教授法です。

ここでは小学校のCLILについて、特に、CLILのメリット・デメリットについて解説し、CLILでよく使うクラスルームイングリッシュについてご紹介します。

また、最後におすすめのCLILの書籍を5冊ご紹介します。

クリル・CLIL・内容言語統合型学習とは

他教科の内容を教える教授法というのはいくつかありました。

たとえば,内容重視の指導(Content-based Instruction)やイマージョン教育といわれるものです。

また、教科横断的な学習をクロスカリキュラムと呼ぶこともあります。

では、これらとCLIL はどう違うのでしょうか。

CLILは、内容と言語を同時に教えていくということに加え,学習者の思考力を発達させ,協同学習や異文化理解を促進させようという概念が入っていることです。

つまり、CLILでは以下の4つの構成要素が重要です。

Content(内容)

Content が意味するのは,教科のテーマやトピックのことです(奥野,2018)。

CLIL の基本原理は,言語学習をそれ単体で行うのではなく,意味のある文脈の中で行わせようとするものです(Coyle et al.,2010)。

Communication(言語)

Communication とは,目標とする言語を使って内容に根ざした発見や,各々の考え・意見・態
度を他者に伝えていくことです。

Cognition(思考)

Cognition は,思考と訳されることが多いです。思考を促進するように授業を展開していきましょう。

Community / Culture(協学・文化)

CLIL の授業では,ペアワーク・グループワーク・協同学習・異文化理解を積極的に取り入れましょう。

Community /Culture とは,広い意味では学習者の所属している国の文化や共同体への理解などを指します。

一方で,狭い意味ではグループメンバーとの経験や意見の交流によって養われる相互理解などを意味します(奥野,2018)。

CLILはこれらの4つの要素を有機的に結びつけて学習者中心の質の高い学びを実現しようとするものです。

つまり、これらすべてに等しく焦点を当てていることが CLIL の方針であるといえます(Coyle et al.,2010;二五・伊藤,2017)

CLILのメリット

CLILのメリット(利点)については「フォーカス・オン・フォームとCLILの英語授業―生徒の主体性を伸ばす授業の提案」の「第3章CLIL(内容言語統合型学習)の目指す英語教育」を参考にしています。

多重知能(multiple intelligences)の観点から


多重知能の理論(MI 理論)というのは人間の知能は少なくとも8つのカテゴリに分けられ、人により強いもの・弱いものが異なると考えられています。

多重知能の理論は、ハーバード大学教授のハワード・ガードナー氏に提唱されました。

多重知能の理論についてはこちらの本が詳しいです。

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CLIL では、英語を生きたものとして捉え、言葉と内容教育の両方に焦点を当てるので、言語能力が高くない生徒であっても、内容に興味や強みがあれば、CLIL のクラスで十分にやっていくことができます。
つまり、CLILは言語能力以外の能力を活用・刺激して教えることができるということです。

CLILと多重知能についてはこちらの本に詳しく書いてあります。

オーセンティシティーの観点から

CLIL では各教科の教材や、日常生活から無理なく素材を発掘することができ、オーセンティシティー、つまり生教材を使うことができます。

また、生教材を使って、タスクやプロジェクト活動など様々な活動ができます。

動機づけの観点から

CLILを取り入れることにより,「児童の自発的なコミュニケーション活動が増した」「児童が意欲的に英語学習に取り組むようになった」など動機づけが高まったという研究が多く行われています。

引用文献

CLILのデメリット(問題点)

CLILのデメリット(問題点)について解説します。

指導案・教材作成が難しい

一番のデメリットはCLILの指導案・教材作成が難しいということです。

他教科で学んだ内容を英語で再学習させることを心がけて教材を作成しなければなりません。

そのためにはどの単元のどの用語かなどについての綿密な教材選定の作業が必要となり,教科全体についての専門的な知見が求められます。

さらに,それらを英語に訳さなければならないなど教材作成のために莫大な時間と労力が必要となってきます。

引用文献

文法事項を体系的に教えられない

当たり前のことですが、内容に重点が置かれるため、どうしても文法事項とかを体系的に順序だてて教えることが難しくなります。

教える単語がかなり偏る

これも当たり前のことなのですが、学習指導要領で推奨されている英単語をきちんと教えるということはできません。

CLILを行うと学習指導要領で推奨されている英単語のレベルを超えたものもたくさん出てきます。

CLILの授業で使えるクラスルームイングリッシュ

ところで、近年日本の小学校でも「クリル」を取り入れた授業が行われるようになりました。

特に、以下の3つの教科が「クリル」を行いやすい教科だと思います。

  1. 手を動かしながら作る図工
  2. 体を動かしながら学ぶ体育
  3. 世界共通の算数

以下ではこれら3つの科目を英語で教えるためのクラスルームイングリッシュを学習します。

クリルで使えるクラスルームイングリッシュを学びたい方はこちらの動画をご利用ください。

上記(図工・算数・体育)での英語フレーズがクイックレスポンスで学べます。

クリル・CLIL・内容言語統合型学習 のクラスルームイングリッシュ

図工のCLILで使える英語

何かを作ったり,色を塗ったり,絵を描いたりする活動は小学校の英語活動でよく行われています。

学年が上がるにつれて高度な作品を作る活動を取り入れていきましょう。

ぶんぶんゴマを作ったり,紙飛行機を作ったり,楽しい活動を行うことができます。

以下は何かを作成するときによく使う英語表現です。

日本語を見て英語がすぐに言えるようになるまで,何度も練習しましょう。

曲線を引いて。
Draw a curved line.

まっすぐな線を引いて。
Draw a straight line.

正方形を描いて。
Draw a square.

丸を描いて。 
Draw a circle.

名前を右上に書いて。 
Write your name in the upper right corner.

魚にまるをつけて。 
Circle the fish.

図工のCLILに関係する記事

算数のCLILで使える英語

算数は全世界共通の概念なので,取り入れやすい分野です。

計算や図形のことなどを英語で教えることができます。

以下は足し算・引き算・掛け算・割り算に関する英語表現です。

2足す3は5です。
Two plus three is five.

5引く3は2です。
Five minus three is two.

2かける3は6です。
Two times three is six.

6割る3は2です。
Six divided by three is two.

また,以下のような算数の応用問題を出すこともできます。

ケイトは2羽の鳥を見ました。ケンは3羽の鳥を見ました。全部で何羽の鳥を見ましたか?
Keito saw two birds.  Ken saw three birds.  How many birds did they see in all?

トムは4つのリンゴを買いました。そのうち2つを食べました。何個のリンゴを持っているでしょうか。Tom bought four apples. He ate two of them. How many did he have?

体育のCLILで使える英語

動作を行いながら,英語を学習できることから,体育を英語で行っている小学校があります。

また,英語の授業の中で,体育に関することを話題にすることもできます。

以下は体育に関する英語表現です。

日本語を見て英語がすぐに言えるようになるまで,何度も練習しましょう。

位置について,ヨーイドン。
On your mark. Get set. Go!

背泳ぎできる?
Can you swim the backstroke?

平泳ぎできる?
Can you swim the breaststroke?

クロールできる?
Can you swim the crawl?

どれくらい背泳ぎで泳げるの?
How far can you swim the backstroke?

逆立ちできる? 
Can you do a handstand?

頭立ちできる? 
Can you do a headstand?

でんぐり返しできる? 
Can you do a somersault?

側転できる? 
Can you do a cartwheel?

腕立て伏せできる?  
Can you do push-ups?

体育のCLILに関する参考記事

おすすめのCLILの書籍5冊

より詳しくクリルについて知りたい方は、日本語の書籍が何冊か出版されていますので、それらを参考にしてください。

フィンランドのクリルと日本の小学校での実践例が紹介されています。

社会や理科などを題材にした小・中学校で使えるCLILの授業の実践例や理論が学べます。

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こちらは中学校・高校生を対象にしたクリルの実践例が学びます。

もっと専門的な書籍ならこれらがおすすめです。

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おわりに

ここではCLILについて解説しました。

CLILは英語教育のトレンドといってもいいくらい、近年急激に増えてきました。

今後もCLILはどんどん発展していくと思います。

また、もっと本格的に児童の英語教授法を学びたい方は小学校英語指導者認定協議会 (略称:J-SHINE)の英語教育指導者の資格を取得することをおすすめします。

英語関係の多くの書籍を出版しているアルクでは『アルク児童英語教師養成コース』
『小学校英語指導者資格取得研修講座』というJ-SHINEの小学校指導者資格を取得するためのコースがあります。

児童心理学、言語習得論、バイリンガル教育など体系的に学べます。

詳しくは公式サイトをご覧ください。

小学校英語指導者J-SHINE準認定 資格取得準備コンプリートコース

引用文献

Coyle, D., Hood, P., and Marsh, D.(2010)Content and language integrated learning.
Cambridge University Press: Cambridge.

奥野由紀子(2018)第 1 章 CLIL って?奥野由紀子編,日本語教師のための CLIL 入
門.株式会社凡人社:東京,pp. 2-40.

二五義博・伊藤耕作(2017)高専 1 年生に対する体育 CLIL の可能性-英語を使用した
サッカーの授業を事例として-.大学英語教育学会中国・四国支部研究紀要,第 14 号抜
刷:125-142.

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