小学校のCLIL(クリル・内容言語統合型学習)メリット・デメリット

CLIL 児童英語

「クリル」「CLIL」って何だろう?と思われる方がいらっしゃるのではないでしょうか。

CLILとは他教科の内容と外国語の学習を組み合わせた教授法でContent and Language Integrated Learning(CLIL)のことで、日本では,「クリル」「内容言語統合型学習」と呼ばれています。

ヨーロッパで盛んに取り入れられている教授法です。

ここでは小学校のCLILについて、特に、CLILのメリット・デメリットについて解説し、CLILの授業で使えるゲームや動画教材,さらに、クラスルームイングリッシュについてご紹介します。

また、CLILで英語が学べるオンラインスクールもご紹介します。

CLILを学べるおすすめのオンラインスク―ル

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クリル・CLIL・内容言語統合型学習とは

CLIL

他教科の内容を教える教授法というのはいくつかありました。

たとえば,内容重視の指導(Content-based Instruction)やイマージョン教育といわれるものです。

また、教科横断的な学習をクロスカリキュラムと呼ぶこともあります。

では、これらとCLIL はどう違うのでしょうか。

CLILは、内容と言語を同時に教えていくということに加え,学習者の思考力を発達させ,協同学習や異文化理解を促進させようという概念が入っていることです。

つまり、CLILでは以下の4つの構成要素が重要で、CLILはこれらの4つの要素を有機的に結びつけて学習者中心の質の高い学びを実現しようとするものです。つまり、これらすべてに等しく焦点を当てていることが CLIL の方針であるといえます(Coyle et al.,2010;二五・伊藤,2017)

Content(内容)

Content が意味するのは,教科のテーマやトピックのことです(奥野,2018)。CLIL の基本原理は,言語学習をそれ単体で行うのではなく,意味のある文脈の中で行わせようとするものです(Coyle et al.,2010)。

Communication(言語)

Communication とは,目標とする言語を使って内容に根ざした発見や,各々の考え・意見・態
度を他者に伝えていくことです。

Cognition(思考)

Cognition は,思考と訳されることが多いです。思考を促進するように授業を展開していきましょう。

Community / Culture(協学・文化)

CLIL の授業では,ペアワーク・グループワーク・協同学習・異文化理解を積極的に取り入れましょう。 Community /Culture とは,広い意味では学習者の所属している国の文化や共同体への理解などを指します。一方で,狭い意味ではグループメンバーとの経験や意見の交流によって養われる相互理解などを意味します(奥野,2018)。

CLILはこれらの4つの要素を有機的に結びつけて学習者中心の質の高い学びを実現しようとするものです。つまり、これらすべてに等しく焦点を当てていることが CLIL の方針であるといえます(Coyle et al.,2010;二五・伊藤,2017)

CLILのメリット(効果)

CLILのメリット(利点)については「フォーカス・オン・フォームとCLILの英語授業―生徒の主体性を伸ばす授業の提案」の「第3章CLIL(内容言語統合型学習)の目指す英語教育」を参考にしています。

CLILは言語能力以外の様々な知能を活用・刺激して教えることができる

多重知能(multiple intelligences)の理論(MI 理論)というのは人間の知能は少なくとも8つのカテゴリに分けられ、人により強いもの・弱いものが異なると考えられています。

多重知能の理論は、ハーバード大学教授のハワード・ガードナー氏に提唱されました。

多重知能の理論については以下を参考にしてください。

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CLIL では、英語を生きたものとして捉え、言葉と内容教育の両方に焦点を当てるので、言語能力が高くない生徒であっても、内容に興味や強みがあれば、CLIL のクラスで十分にやっていくことができます。

つまり、CLILは言語能力以外の8つの知能を活用・刺激して教えることができるというメリットがあります。

CLILは生教材を活用した様々な活動ができる

CLIL では、いわゆる教科書に縛られず、各教科の教材や日常生活から無理なく素材を発掘することができるため、オーセンティシティー、つまり生教材を有効に活用した活動を行うできます。

つまり、生教材を使ったタスクやプロジェクト活動など楽しい創造性のある活動ができます。

CLILは英語学習に対する動機づけを高める効果がある

CLILを取り入れることにより,「児童の自発的なコミュニケーション活動が増した」「児童が意欲的に英語学習に取り組むようになった」など動機づけが高まったという研究が多く行われています。

引用文献

CLILのデメリット(問題点)

CLILのデメリット(問題点)について解説します。

指導案・教材作成が難しい

一番のデメリットはCLILの指導案・教材作成が難しいということです。

他教科で学んだ内容を英語で再学習させることを心がけて教材を作成しなければなりません。

そのためにはどの単元のどの用語かなどについての綿密な教材選定の作業が必要となり,教科全体についての専門的な知見が求められます。

さらに,それらを英語に訳さなければならないなど教材作成のために莫大な時間と労力が必要となってきます。

引用文献

文法事項を体系的に教えられない

当たり前のことですが、内容に重点が置かれるため、どうしても文法事項とかを体系的に順序だてて教えることが難しくなります。

教える単語がかなり偏る

これも当たり前のことなのですが、学習指導要領で推奨されている英単語をきちんと教えるということはできません。

つまり、CLILを行うと学習指導要領で推奨されている英単語のレベルを超えたものもたくさん出てくるため、そのため、教える単語がかなり偏ります。

CLILを体験できるスクール

上記のようにCLILにはメリットもデメリットもありますが、効果的な教授法です。

「百聞は一見に如かず」ですので、お子様がいらっしゃる方は、一度どのようなものかお子様と体験なさってみてください。

以下の2つのスクールがCLILが学べるおすすめのスクールです。

Go School

一番のおすすめは日本初の文科省認可オンライン大学であるBBT大学と国際バカロレア(IB) 認定校 であるアオバジャパン・インターナショナルスクールのグループが経営しているGo Schoolです。

Welcome to Our WorldやNational Geographic“Explore Our Worldなどテキストを教材として使いますので、しっかり英語で理科や算数を学ぶことができます。

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Cengage Learning
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さらに、高学年になるとNational Geographic“Reach Higher”というアメリカの現地小学校で採用されている教科書や米国公私立校で採用する教科書でEnglish・ Math・ Scienceの3科目を学びます。

料金は以下のようになります。

プラン入学金50分授業回数月額(税込)割引率
Rabbit¥9,900週2回¥26,070
Giraffe¥9,900週3回¥33,66015%
Cheetah¥9,900週4回¥42,46020%
Falcon¥9,900週5回¥49,39025%
Rocket¥9,900週6回¥58,74025%

バイリンガルコースの場合は、履修科目は原則Englishになりますが、レベルと学年によってインターナショナルコースのMath、Scienceを同時受講することも可能です。

インターナショナルコースでは、科目ごとに毎週の受講回数が決まっているため、プランによって以下のように選べる科目が変わります。

  • Rabbit:Math
  • Giraffe:(1)English または (2)Math+Science
  • Cheetah:English+Science
  • Falcon:English+Math
  • Rocket:English+Math+Science

このように本格的なCLILが学べるのがGo Schoolです。

詳しくはこちら>>>オンラインで本気でバイリンガルに!【GO School】

Global Step Academy

Global Step Academyは千葉や立川にあるインターナショナルスクールで、オンラインレッスンも提供しています。

科学、音楽、アート、地理学、ライフスキル、歴史、自然科学や、健康とウェルネスなど、様々な教科を英語で受講することができます。

以下は紹介動画です。先生はとってもわかりやすい英語を話していますね。

料金は以下のようになります。

プラン頻度月額
BASIC2回/週¥18,700
STANDARD3回/週¥26,500
SILVER4回/週¥33,200
GOLD5回/週¥38,900

2週間の無料体験ができますので、4歳から15歳のお子様がいらっしゃる方はぜひ、体験させてみてください。

詳細はこちら>>> オンライン・インターナショナルスクールGlobal Step Academy

CLILの授業で使えるクラスルームイングリッシュ

ところで、近年日本の小学校でも「クリル」を取り入れた授業が行われるようになりました。

特に、以下の3つの教科が「クリル」を行いやすい教科だと思います。

  • 手を動かしながら作る図工
  • 体を動かしながら学ぶ体育
  • 世界共通の算数

以下ではこれら3つの科目を英語で教えるためのクラスルームイングリッシュを学習します。

クリルで使えるクラスルームイングリッシュを学びたい方はこちらの動画をご利用ください。

上記(図工・算数・体育)での英語フレーズがクイックレスポンスで学べます。


なお、この動画は「小学校での英語」を参考にしました。

ご購入は以下のリンクから

小学校での英語

子どもに英語を教える先生におすすめの本「小学校での英語」に本書の補足教材や付属動画を掲載しています。

「小学校での英語」はアマゾンキンドルのunlimitedで無料で読めます。

Kindle Unlimitedでは30日間の無料体験を行っていますので、無料体験で一読ください。

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図工のCLILで使える英語

図工

何かを作ったり,色を塗ったり,絵を描いたりする活動は小学校の英語活動でよく行われています。

学年が上がるにつれて高度な作品を作る活動を取り入れていきましょう。

ぶんぶんゴマを作ったり,紙飛行機を作ったり,楽しい活動を行うことができます。

以下は何かを作成するときによく使う英語表現です。

日本語を見て英語がすぐに言えるようになるまで,何度も練習しましょう。

曲線を引いて。
Draw a curved line.

まっすぐな線を引いて。
Draw a straight line.

正方形を描いて。
Draw a square.

丸を描いて。 
Draw a circle.

名前を右上に書いて。 
Write your name in the upper right corner.

魚にまるをつけて。 
Circle the fish.

算数のCLILで使える英語

算数

算数は全世界共通の概念なので,取り入れやすい分野です。

計算や図形のことなどを英語で教えることができます。

以下は足し算・引き算・掛け算・割り算に関する英語表現です。

2足す3は5です。
Two plus three is five.

5引く3は2です。
Five minus three is two.

2かける3は6です。
Two times three is six.

6割る3は2です。
Six divided by three is two.

また,以下のような算数の応用問題を出すこともできます。

ケイトは2羽の鳥を見ました。ケンは3羽の鳥を見ました。全部で何羽の鳥を見ましたか?
Keito saw two birds.  Ken saw three birds.  How many birds did they see in all?

トムは4つのリンゴを買いました。そのうち2つを食べました。何個のリンゴを持っているでしょうか。Tom bought four apples. He ate two of them. How many did he have?

また、このような図形に特化した動画も作成しましたので、ぜひご活用ください。

計算と時計に特化したクラスルームイングリッシュが学べる動画です。

実際の授業でも使用することができます。

体育のCLILで使える英語

体育

動作を行いながら,英語を学習できることから,体育を英語で行っている小学校があります。

また,英語の授業の中で,体育に関することを話題にすることもできます。

以下は体育に関する英語表現です。

日本語を見て英語がすぐに言えるようになるまで,何度も練習しましょう。

位置について,ヨーイドン。
On your mark. Get set. Go!

背泳ぎできる?
Can you swim the backstroke?

平泳ぎできる?
Can you swim the breaststroke?

クロールできる?
Can you swim the crawl?

どれくらい背泳ぎで泳げるの?
How far can you swim the backstroke?

逆立ちできる? 
Can you do a handstand?

頭立ちできる? 
Can you do a headstand?

でんぐり返しできる? 
Can you do a somersault?

側転できる? 
Can you do a cartwheel?

腕立て伏せできる?  
Can you do push-ups?

体育のCLILはTPR(全身反応教授法)にもなります。

TPRの詳細はTPR(全身反応教授法)とは!メリット・デメリットを解説を参考にしてください。

CLILの授業で使えるゲーム

次にCLILの各教科の授業で使えるゲームをご紹介します。

算数のCLILの授業で使えるゲーム

ここでは算数のCLILの授業で使えるゲームについてご紹介します。

世界共通の算数はCLILを行うのに適した教科です。

海外の子ども用の算数のおもちゃやゲームを上手に利用しましょう。

海外の知育おもちゃの詳細は海外の知育おもちゃを参考にしてください。

以下おすすめの算数ゲームです。

暗算ゲームは小学生のCLIL教材にぴったりです。

就学前の子どもに数字を教えるにはこちらのすごろくがおすすめです。

人数の少ないクラスや自宅で使われる方には以下のようなタブレットもおすすめです。

Plugo Count(カウント)は、ARを活用したSTEMゲームキットです。

一連のストーリーベースの算数の課題を子供たちに提供します。

社会のCLILの授業で使えるゲーム

ここでは社会を英語で学べるゲームをご紹介します。

世界について英語で学べるゲームです。

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世界の大都市について英語で学ぶゲームです。

理科のCLILの授業で使えるゲーム

ここででは理科について英語で学べるゲームをご紹介します。

使われている単語がかなり難しいので、高校生や大学の授業でも使えます。

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CLIL教材として使える動画

ここではCLIL教材として使える動画をご紹介します。

図工のCLIL教材

図工のCLILとして最適なのが、英語で折り紙です。

英語で折紙の教材を作成しましたので、ご利用ください。

これらをまとめた教材です。

体育のCLIL教材

体育のCLILとして気軽にできるものとしてヨガやストレッチなどがあげらます。実はヨガと英語ってかなり相性がよく、ヨガと英語を掛け合わせて楽しい子ども英語の教室を行うことができます。

詳細はヨガを英語で子どもに教えよう!キッズヨガ+児童英語のダブル資格を参考にしてください。

また、本格的に英語のレッスンにヨガを取り入れたいとお考えの方は、キッズヨガの資格を取られることをおすすめします。

詳しくはキッズヨガ・ベビーヨガの資格を取得しよう!、または以下の公式サイトをご覧ください。

JAHA「リトル&キッズヨガインストラクター資格講座」

ヨガのCLILに関してはた以下を参考にしてください。

キッズヨガの教材

キッズヨガを英語で教える

食育のCLIL教材

食育教材として牛乳を学ぶ動画を4本作成しました。

1本目の動画は

  • What animal makes milk?
  • How much does a cow make milk per day?
  • When did milk come to Japan?

など牛乳の知識を問う動画です。

2本目の動画は、何が牛乳で作られているかを考える動画です。

あまり知られていないことなのですが、ピアノの鍵盤などが牛乳で作られているなど結構勉強になる動画です。

牛乳と健康について英語で学べるCLIL教材です。

最後はバターの作り方を英語で学ぶ動画です。

これらの4本を使ったセミナーを行い、実際に数名の児童に参加してもらいました。

おすすめのCLILの書籍

より詳しくクリルについて知りたい方は、日本語の書籍が何冊か出版されていますので、それらを参考にしてください。

フィンランドのクリルと日本の小学校での実践例が紹介されています。

社会や理科などを題材にした小・中学校で使えるCLILの授業の実践例や理論が学べます。

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こちらは中学校・高校生を対象にしたクリルの実践例が学びます。

もっと専門的な書籍ならこれらがおすすめです。

おわりに

ここではCLILについて解説しました。

CLILは英語教育のトレンドといってもいいくらい、近年急激に増えてきました。

今後もCLILはどんどん発展していくと思います。

上手に授業に取り入れていきましょう。

ところで、もっと本格的に児童の英語教授法を学びたい方は小学校英語指導者認定協議会 (略称:J-SHINE)の英語教育指導者の資格を取得することをおすすめします。

アルクでしたら通信教育で比較的に安価にJ-SHINEの資格が取得できます。

詳しくは下記の公式サイト、または小学校英語指導者資格J-SHINEは必要?意味ない?役にたたない?をご覧ください。

公式サイト>>>小学校英語指導者資格認定 アルク児童英語教師養成コース

以下は児童英語教育に関するその他の教材・資料です。ご自由にご利用ください。

クラスルームイングリッシュ

クイズ・ゲーム

ALTとのコミュニケーション

海外の児童英語教育事情

引用文献

  • Coyle, D., Hood, P., and Marsh, D.(2010)Content and language integrated learning.
    Cambridge University Press: Cambridge.
  • 奥野由紀子(2018)第 1 章 CLIL って?奥野由紀子編,日本語教師のための CLIL 入
    門.株式会社凡人社:東京,pp. 2-40.
  • 二五義博・伊藤耕作(2017)高専 1 年生に対する体育 CLIL の可能性-英語を使用した
    サッカーの授業を事例として-.大学英語教育学会中国・四国支部研究紀要,第 14 号抜
    刷:125-142.
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