TPR(トータルフィジカルレスポンス:全身反応教授法)とは!メリット・デメリット

TPR(全身反応教授法)? TPRを英語の授業に取り入れてみよう 児童英語教育・研究
TPR(全身反応教授法)? TPRを英語の授業に取り入れてみよう 

小学校 で外国語活動が必修化されましたが、「どんな授業を行ったたらいいのであろう」とお困りの先生方も多いのではないでしょうか。

TPR(Total Physical Response Approach:トータルフィジカルレスポンス)を授業に取り入れてみませんか。

TPR (全身反応教授法) とは、教師が英語で指示を出し、生徒はその指示通りに全身で反応するという教授法で、簡単な命令文が多いので、教えやすいです。

ここではTPRについて網羅的に学習できるように、TPRについての意味・メリット・デメリットを解説します。さらに、TPRを活用したゲーム「Simon Says」やTPRのクラスルームイングリッシュ、TPRに関する書籍・論文もご紹介します。

自己紹介

大学の教員で、2003年から大学の児童英語講師養成講座で教えはじめ、児童英語教育関係の書籍・論文を多数出版しています。

TPR(トータルフィジカルレスポンス:全身反応教授法)とは?

TPRとは、教師が英語で指示を出し、その指示に即座に応じて全身で反応するという教授法です。

児童英語ではよく行われています。 

TPRは1960年代に,アメリカの心理学者James J. Asherが提唱しました。

  1. リスニング力は身体の動きを通して伸ばす
  2. リスニングをスピーキングに先行させて十分に行う
  3. レディネスができるまで発話させない

という3つの原則にもとづいてTPRを考案しました(Asher, 2009)。

幼児は,話す力を習得する前に,膨大な時間を聞くことに費やします。

そして,動作と結びつけながら言葉を身につけていきます。こうした幼児の言語習得プロセスに着目し,命令を聞かせて,全身でそれに反応してもらうことで,外国語を習得させる指導法がTPRです。

幼児が母国語を習得する過程を応用したもので,命令を聞いたらすぐにそれを動作で反応させる方法です。

つまり,言葉と動作を結びつけることによって,日本語を介すことなく言葉を直接体感して理解するというものです。

TPR(全身反応教授法)のメリット

TPR(全身反応教授法)のメリットについて解説します。

話すことを強制されないのでストレスが少ない

学習者は個人または集団で指導者の命令を聞いて動作で反応するので,話すことを強制されず,緊張感を感じることがありません。

つまり,TPRでは学習者は音声が十分内在化されるまでは発話を強制されないため,ストレスも少なく楽しく学習することができます。

児童が語学を学ぶのに適している

幼児の母語習得の過程を外国語の学習に応用したTPRは,目標言語を通して直接的に外国語を学習するのに適しています。

教師が英語の命令文を言いその動作をさせるTPRは、英語を学び始めたばかりの小学生でも,体で英語を覚えることができるので、楽しみながら行うことができます。

初心者に適している

日本での日本語クラスを想像してみてください。

いろいろな国籍(中国・韓国・ベトナムなど)の方がいますので、日本語の先生はそれらの言語を使って日本語を教えることができませんよね。

ただ、学生も日本語がまったくわからない場合、どうしたら教えることできますか?

その場合、個々の学生の母語を使わず教えるのに、TPRがぴったりなのです。

日本語がまったくわからない初心者レベルの方にもTPRを使いながら教えることができます。

TPR(全身反応教授法)のデメリット

TPRのデメリットについて解説します。

聞くこと以外の技能が伸ばせない

話すことを強要せず、聞いて動作をさせるのがメインの活動になりますので、読み・書く・話すの技能はあまり伸ばすことができません。

動作で表現できない抽象的な概念は教えられない

動作だけで表現できない抽象的な概念はたくさんありますので、そういったものはTRPでは教えられません。

文法事項について教えにくい

主に、命令文のみを使うことになりますので、その他の文法事項についてはTPRだけで教えるのは難しいです。

TPRにはこのように多くのデメリットもありますので、これだけで授業をすすめるのは難しいです。

授業の最初のウォームアップとして毎回TPRを取り入れたらいいのではないかと思います。

なお、今までの説明は以下の本の「小学生に英語を指導するために知っておきたい教授法」の章を参考にしました。

TPRのメリット・デメリットなどを論文などにきちんと引用したい方は、こちらの本や以下で紹介する書籍や論文から抜粋してください。

TPR(全身反応教授法)の具体的な指導例

以下はTPRの具体的な指導例です。

  • 始めは教師による命令を聴き,動作のモデルを見て行う。
  • クラス全体で言葉を聴いて動作を行う。
  • 始めは簡単な動作で,それからだんだんと複雑な動作に移っていく。
  • 各時間の初めに前の時間の復習を行う。
  • 10時間くらい学習した後で, 語彙,構文をまとめたプリントを配布する。このとき指導者は命令文を読み上げながら,動作を示す。なお,生徒に声を出させたり,繰り返させたりする必要はない。
  • 15時間くらい学習した後で「役割交替」をして,生徒が他の生徒に命令を発する。

國方 (2005)「これからの小学校英語教育 ―理論と実践」を参照

TPRゲーム「Simon Says」 

代表的なゲームにSimon Saysというゲームがあります。

Warm upなどにぴったりです。

動作を示す命令文の前に「Simon Says」という言葉をつけたときのみ、生徒はその動作を行い、命令文だけすなわち「Simon Says」を言わない場合はその動作を行いません。

以下が「Simon Says」で使うよく使うセリフです。これらをもとにご自分の授業で「Simon Says」を行ってみてください。

Stand up, everyone.

Here’s how to play the game.

If I say, “Simon says stand up,” you should stand up. 

But if I only say, “Stand up,” you shouldn’t stand up.

If you make a mistake,  you’re out of the game.   

Do you understand?

Ok, let’s begin.  Simon says touch your forehead. 

Simon says hands up.

Touch your nose. Oh, oh,    you’ve made a mistake.

I didn’t say Simon says.

なお、これらの英語フレーズは「小学校での英語」を参考にしました。

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小学校での英語

子どもに英語を教える先生におすすめの本「小学校での英語」に本書の補足教材や付属動画を掲載しています。

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TPR(全身反応教授法)のインストラクション

動画の学習の仕方

①Part1  クイックレスポンス

日本語を見ながら英語に瞬時に間違えずに最後まですらすら英語に直せるようになるまで練習しましょう。
②Part2 シャドーイング練習

画面を見ないで聞いた英語とほぼ同時に発音してみましょう。

動画の中から、特に覚えておきたいクラスルームイングリッシュ、5フレーズをピックアップしました。

あごを触って。
Touch your chin.

円を足で描いて。
Draw a circle with your foot.

ひざを曲げて。
Bend your knees.

左足をあげて。
Lift your left leg.

片足で立って。
Stand on one leg.

上記の「小学校での英語」から抜粋しました。

全文はキンドルのunlimtedで無料で読めます。

TPR(全身反応教授法)を応用した英語学習教材

以下は今まで作成しましたTPRの英語教材です。

折り紙でTPR

折り紙は動作を伴うため英語で教えるとTPRになります。

以下は英語で折り紙を学ぶための教材のリンクです。

4本の動画を作成しました。

茶道でTPR

抹茶の飲み方

お辞儀の仕方

英語でヨガ・ストレッチのTPR教材

TPRの手法を取り入れて英語でストレッチ・ヨガを子どもに教えることもできます。

以下は英語で子どもにヨガを教えるときの方法などを解説しています。

以下は英語でストレッチ・ヨガの教材です。

授業中(座ってできる)ポーズ

子どもたちが好きなポーズ

ヨガを英語で教えるための書籍

ヨガを英語で教えることにご興味のある方はキッズヨガの資格を取得しましょう。

日本ハッピーライフ協会(JAHA)の「リトル&キッズヨガインストラクター資格養成講座」をおすすめします。

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キッズヨガの資格を取得できる養成講座(通信講座)

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TPR(全身反応教授法)に関する書籍

TPRに関する書籍です。

TPRを開発したDr. James J. Asherの著書です。

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こちらは最近出版されたばかりの書籍です。理論中心です。

これらは実際の授業で使う授業案などです。

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TPR(全身反応教授法)に関する学術論文

TPRに関して書かれた学術論文です。

小学校外国語活動と中学校英語教育とのスムーズな接続に対するTotal Physical Responseの有効性に関する実証的研究 Language education & technology (51), 51-80, 2014 黒川愛子・鈴木寿一

日本人中学生のスピーキング力育成に対するTPRの有効性に関する実証的研究 LET関西支部研究集録 (13), 93-111, 2011 黒川愛子・鈴木寿一

TPRの実践における質的研究 : 大学初級英語クラスの場合 中部地区英語教育学会紀要 41(0), 161-168, 2012 千田 誠二

なお、文献の探し方については別のサイトになりますが、「卒論の文献の探し方【CiNii・Google Scholarの使い方】」を参考にしてください。

おわりに

TPRは工夫次第で楽しく英語を学ぶことができます。

上手に活用して楽しい授業を行ってください。

特に、毎回の授業のウォームアップに最適だと思います。

ウォームアップについては小学校の英語のウォームアップ【おすすめの活動・ゲームも紹介】を参考にしてください。

ところで、もっと本格的に児童の英語教授法を学びたい方は小学校英語指導者認定協議会 (略称:J-SHINE)の英語教育指導者の資格を取得することをおすすめします。

英語関係の多くの書籍を出版しているアルクでは『アルク児童英語教師養成コース』
『小学校英語指導者資格取得研修講座』というJ-SHINEの小学校指導者資格を取得するためのコースがあります。

児童心理学、言語習得論、バイリンガル教育など体系的に学べます。

詳しくは公式サイトをご覧ください。

小学校英語指導者J-SHINE準認定 資格取得準備コンプリートコース

以下は児童英語教育に関する教材です。参考にしてください。

クラスルームイングリッシュ

クイズ・ゲーム

ALTとのコミュニケーション

海外の児童英語教育事情

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